Xiaomi SU7 vs Tesla Model 3──スマホメーカーEVはどこまで来たか
シャオミ初の量産EV SU7は、中国市場でModel 3を販売台数で逆転した月もあった。価格、スペック、ソフトウェア統合、課題を実車視点で比較する。
Xiaomi SU7は、スマートフォンメーカーが本気でEVを作るとどうなるかを示した1台だ。2024年の発売直後から中国国内で受注が殺到し、2025年以降は月販でTesla Model 3を上回る月も出始めた。本稿では、2026年時点でSU7がModel 3に対してどこまで肉薄したのか、価格・スペック・ソフトウェア体験の3点から整理する。
価格──同等装備で約2〜3割安い
SU7の中国本土価格は標準モデルで21.59万元(約430万円)、最上位のMaxで29.99万元(約600万円)。これに対しModel 3は中国市場で23.55万元〜32.95万元のレンジ。同等装備の比較では、SU7が概ね2〜3割安い計算になる。
注目すべきは「同等装備」の中身だ。SU7の標準モデルにはエアサス、可変ダンパー、800Vアーキテクチャ、4Dミリ波レーダーまで含まれる。Model 3でこれらに相当する機能を揃えるには上位グレード+オプションが必要で、実質的な機能差価格はさらに広がる。
スペック──Maxは0-100km/hが2.78秒
SU7 Maxはデュアルモーターで合計673馬力、0-100km/h加速2.78秒を公称する。これはModel 3 Performanceの3.1秒台を明確に上回る。航続はCLTC計測で800km(実走行では600km前後と推測)。バッテリーはCATL製の麒麟(Qilin)電池を採用し、800V急速充電で5分間で約220km分の充電が可能とされる。
シャシーは保時捷(ポルシェ)出身の設計者が関わっており、業界筋によれば「中国EVらしからぬハンドリングの素直さ」が初期レビューで高評価を得ているという。
ソフトウェア──HyperOSによる端末横断
SU7の本当の強みはハードよりソフトだ。XiaomiのHyperOSがスマホ・タブレット・家電・車両を一気通貫で統合する設計で、Apple CarPlayやAndroid Autoの上位互換的な体験を提供する。
例えば、玄関を出る前にスマホで車内空調と音楽を起動し、車に乗り込むと自動で続きが再生され、目的地に着いてリビングに入ると同じ曲がスピーカーに引き継がれる、といった連携が標準機能として動く。Teslaのアプリ連携でも近いことはできるが、シームレスさで一歩先を行く印象だ。
自動運転──Xiaomi Pilot vs FSD
Xiaomi Pilotは中国国内向けに「都市部NOA(Navigate on Autopilot)」を展開済みで、北京・上海・深センなどの主要都市での走行を可能にしている。Teslaの中国版FSDは2025年に解禁されたものの、データ蓄積量とローカル地図の精度ではXiaomi Pilotがやや先行している、と業界では見られている。
ただし、これは中国国内に限った話だ。グローバルではTeslaのデータ量・ハードウェア更新サイクルが依然として圧倒的で、SU7の海外展開はソフトウェアのローカライズが鍵になる。
課題──供給と品質
SU7の課題は明確で、生産能力が需要に追いついていない。納車待ちは数か月単位、地域によっては半年待ちという情報もある。新興EVメーカーが陥る典型的なボトルネックで、ここを抜けられるかが2027年以降の試金石だ。
品質面でも、初期ロットでパネルチリ・電子系の不具合報告が散見されている。これはModel 3の初期と同様の通過儀礼と見ることもできるが、ブランド評価への影響は無視できない。
まとめ──中国市場では既に逆転、海外は別物
中国市場限定で見れば、SU7はスペック・価格・ソフトウェアの3点でModel 3に対して優位に立った場面が増えている。海外市場ではTeslaのインフラ(スーパーチャージャー網)とブランドが依然として強力で、SU7のグローバル展開は2027年以降の本格戦になる。スマホメーカー出身という出自を活かしたエコシステム統合は、今後数年のEV業界を見る上で外せない論点だ。
よくある質問
Q. SU7は日本で買えますか? 2026年6月時点で正規輸入の発表はありません。Xiaomi自身が海外展開を急いでいないのが現状です。
Q. Tesla FSDと比べてXiaomi Pilotはどうですか? 中国国内の都市部走行ではXiaomi Pilotが互角〜やや優位、グローバルなデータ蓄積ではTeslaが圧倒的、という棲み分けです。
Q. CATL麒麟電池の寿命は? 公称で20万km・10年保証。実使用の長期データはまだ揃っていません。
あわせて読みたい
コメント (0)
まだコメントはありません。最初の一言を残しませんか?