Dyson OnTrac レビュー──"音"より"カスタマイズ"で勝負する異色ヘッドホン
掃除機メーカーが本気で作ったヘッドホンを2026年の今、改めて使い込んでみた。音質より着せ替えで戦う設計思想は、思った以上に的を射ている。
Dyson OnTracが発表されたとき、正直「あの空気清浄機付きヘッドホンの再来か」と身構えた。だが2026年の今、改めて数週間使い込んでみると、これは掃除機メーカーがやるべきことをきっちりやった製品だと考えを改めた。音質で勝負していない、というのが結論だが、それは悪い意味ではない。
どんな製品か:着せ替えできるオーバーイヤー
OnTracはノイズキャンセリング搭載のオーバーイヤー型ワイヤレスヘッドホンで、最大の特徴はイヤーカップとクッションが工具なしで付け外しできること。色違い・素材違いの交換パーツが純正で多数用意されている。要するに「ヘッドホン版のApple Watchバンド戦略」だ。
音質:価格帯の標準は確実にクリア
肝心の音は、結論から言うと「価格帯の標準は確実にクリアしているが、突出はしていない」。SonyのWH-1000XM6やBose QC Ultra IIと比較すると、低域の沈み込みと中高域の解像感ではやや一歩譲る印象。ただ、聴き疲れしにくいフラット寄りのチューニングで、長時間つけても不快にならない。
ノイズキャンセリング性能は実用上十分。電車内のゴーという低域は8割方消える。人の声は完全には消えないが、これはハイエンド機でも同様の傾向だ。
装着感:重量はやや覚悟が必要
ここは弱点。実測でおよそ450g前後あり、ハイエンドWH-1000XM6(およそ250g)の2倍弱。頭頂部のクッションは厚めに作られていてはいるが、3〜4時間装着すると首が疲れる感覚は否めない。「家・オフィスで腰を据えて使う」用途に最適化されているように感じる。
ここが本領:着せ替えとアプリ
冒頭で書いた着せ替えだが、これが想像以上に効く。気分やコーディネートで色を変えられるというのは、機能性家電にはなかった発想で、所有満足度が継続的に上がる。
アプリ「MyDyson」も洗練されている。EQプリセットだけでなく、聴覚特性をテストしてパーソナライズチューニングする機能や、騒音環境の可視化(dB単位で1日の暴露量を表示)など、「掃除機メーカーらしい」データ可視化志向が随所に出ている。
バッテリーは余裕
公称55時間、実測でも40時間以上は普通に使える。週末に1回充電すれば平日は持つ感覚で、ストレスゼロ。
どんな人に薦めるか
- 服や持ち物と「揃える」ことを楽しみたい人
- 1台を長く使い、消耗パーツを純正で買い替えたい人
- ノイズキャンセリングは普通に良ければOKという人
逆に「音質最優先」「軽さ最優先」の人は、SonyやBoseの方が満足度は高いだろう。
よくある質問
Q. SonyのWH-1000XM6と比べてどちらを買うべき? A. 音質・軽さで選ぶならSony、所有満足度・カスタマイズ性で選ぶならDyson。価格帯はほぼ同等なので、店頭で装着感を試してから決めるのを薦める。
Q. 通話品質は? A. リモート会議で使う限り、相手側から品質クレームが来たことはない。風切り音の処理は標準的レベル。
Q. 有線接続は可能? A. 3.5mmケーブルでの有線接続に対応。アクティブモードでもパッシブモードでも使える。
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